講義4:お金のこと
銀行はここを見ている!住宅ローン審査のポイント
日々、お客さんと接している中で相談が多い項目の一つが
「住宅ローン審査」についてです。
ここでは審査のポイントを解説します。
●年収に対する返済比率
4-2でも触れましたがもう少し詳しく解説します。
年収500万円で銀行の返済比率が30%だった場合の
借入可能額は約4,300万円です。
(月々の返済は125,000円)
ここまでは単純な掛け算で計算できます。
車のローンなどの既存借入がある場合は借入可能額は減りますが
その計算方法を多くのお客さんが間違えています。
ローンの残債が150万円だと
4,300-150=4,150万円
が借入可能額だと思っている方が多いです。
銀行は残債がいくらあるかということより
月々いくらの返済をしているかを重視します。
月々3万円の返済だとしたら
125,000-30,000=95,000
が月々の返済上限額です。
月々95,000円の借入可能額は
約3,270万円となります。
既存の残債が150万円あるだけで
借入可能額は約1,000万円も減ってしまうことになります。
また個人事業主の方が注意しておかないといけないことがあります。
それは「年収を極端に低くしない」ということです。
年収が高ければそれだけ税額が高くなります。
なので個人事業主の方は年収を低くしがちです。
過去、出会ったお客さんには
年収100万円未満に調整している方もいました。
売上や自己資金はありましたが
銀行が一番、重要視するのは返済比率です。
返済比率は年収に対する割合なので
年収が100万円ではどこの銀行からも借入不可となります。
税金を多く払いたくないという気持ちはわかりますが
家を買うかもしれないという場合は
3年ぐらいは多めの年収で申告をしてください。
●申込者の年齢に対して
20代の方は特に気になる必要はありませんが
40代以降の方は気にした方が良いポイントです。
住宅ローンは最長で35年組むことができます。
ですが誰でも35年組めるわけではありません。
住宅ローンには各銀行で完済年齢というものが設定されています。
50歳の方が完済年齢75歳の住宅ローンを利用する場合は
75歳ー50歳=25年
というように住宅ローンが組める年数が短くなります。
同じ年収でも返済期間が変われば月々の返済額は増加します。
なので以下のように借入可能額が減っていきます。
年収500万円で35年返済=4,300万円
年収500万円で30年返済=3,800万円
年収500万円で25年返済=3,250万円
80歳完済という銀行もありますが
一般的に60歳、65歳が定年の日本で
定年後も15年以上、今と同じ返済をしていくというのは
難しい部分でもあります。
早く借りればその分早く返済が終わります。
この点だけをみると住宅購入はできるだけ早い方がメリットになります。
●長ければ信頼度がアップ!勤続年数について
今の日本では終身雇用制度も終わりつつありますし
転職すること自体は珍しいことではなくなっています。
ただ銀行は勤続年数の長さもチェックしています。
以前は勤続年数3年以上という銀行もありましたが
最近では勤続1年ぐらいでも審査自体は可能です。
また1年未満でも前職と転職先での仕事内容が似ていたり
年収がアップするようなキャリアアップの場合は
審査を受け付けてくれる銀行も増えてきました。
転職から半年以内という方であれば
勤続年数に対する条件がないフラット35を検討すると良いです。
それ以外でも信用金庫は比較的、柔軟な対応をしてくれることが
多いので取引のある信用金庫などに相談するのも一つの手です。
個人事業主、経営者に関しては原則3年分の決算書や確定申告書が必要になりますし
開業から1年未満だと住宅ローンは諦めた方が良いです。
3期分の決算書、確定申告書が必要な場合が多いです。
●社長は不利なのが住宅ローン
続いては雇用形態についてです。
銀行が最も優遇するのは
上場企業にお勤めの正社員の方や
公務員の方です。
その理由は会社が倒産するリスクが少なく
毎月のお給料が安定しているからです。
一方、社長に関してはかなり厳しく見られます。
個人の年収はもちろん会社の決算書なども提出する必要があります。
決算が赤字だと審査はとても厳しくなります。
最近は派遣社員や契約社員という雇用形態も増えていますが
正社員と比べると審査自体は厳しくなりますが
融資が無理ということはありません。
過去に時給で働いている看護師さん(パート)の方でも審査に承認したことはあります。
●借入の返済を毎月しているか?
金融機関には「個人信用情報」というものを共有しています。
個人金融情報には借入額や借入先、借入年数はもちろん
毎月の返済履歴も掲載されています。
当然ですが延滞などがあれば審査に不利になります。
3ヶ月以上の滞納があればそれだけで審査NGとなることもあります。
金融機関は審査の段階で個人信用情報を必ず確認しています。
借入自体が悪いわけではありませんが
度重なる延滞の履歴があれば金融機関からは融資NGという回答が出ます。
ちなみにこの個人信用情報に延滞履歴が乗ることが
世間でいうブラックリストと同義になります。
最近では携帯電話の本体を分割で購入することが多いです。
この携帯電話本体代もローン扱いとなります。
なので携帯代の支払いを忘れると延滞履歴として登録されるのでご注意下さい。
ちなみにこの個人信用情報ですが過去5年~7年間は掲載されているので
自己破産や債務整理をした方などはこの期間借入ができないことが多いです。
●既往歴・持病はないか?
住宅ローンの申込時には「団体信用生命保険」という保険に加入することになります。
団体信用生命保険とは債務者の方が亡くなったり、高度障害になってしまった場合に
保険会社が住宅ローンの残債を支払ってくれる保険です。
3年以内に手術を受けたり、2週間以上に渡り治療を受けている場合などは
申告が必要となります。
団体信用生命保険には7大疾病保障やがん保障をカバーできる保険もあります。
多くの場合、0.1%~0.3%金利が高くなります。
お客さんの中にはこの保障をつけるか悩む方もいますが
個人的には不要だと思っています。
(無料でつけれる場合はつけても問題はありません)
●建物の築年数・評価額
住宅ローンでお金を借りたら
銀行は土地と建物に抵当権という権利を設定します。
万が一ローンの支払いが滞ったら土地、建物を売却して
貸したお金を回収します。
その為、銀行は土地、建物の評価を行います。
この評価のことを担保評価と言います。
担保評価と物件価格に大きな差があると
借入金額が減額になったり融資自体が不可ということもあります。
また中古の物件で前の所有者の方が増築をして
建築基準法違反となっている物件も融資NGとなります。
中古マンションの場合は築年数に応じて
借入期間が決まってしまうこともあります。
銀行によって違いはありますが
「50年―築年数=貸出期間」
となることもあります。
築20年の物件だと
50-20=30年
が最長の借入期間です。
以上が銀行が審査の時に見ているポイントです。
特に注意が必要なのは延滞履歴と個人事業主の方の年収です。
延滞履歴は5年~7年記録されてしまいますし
決算内容は3年分必要です。
過去のことなので現在では対応が不可能です。
今すぐ住宅を購入するつもりがなくても
過去の実績が必要なので準備をしておきましょう。
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