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【30】重要事項説明書を読む(2)

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【30】重要事項説明書を読む(2)

カテゴリ:秘伝の住宅購入講義


講義7: 住宅購入のスケジュール

重要事項説明書を読んでみよう!

前回の続きで重要事項説明書の解説です。
前回までの記事はこちら

●飲用水・電気・ガスの供給施設および整備状況

いわゆるライフラインについての項目です。

飲用水
上水道に関しては
前面道路の配管の有無や
前面道路から敷地内への引込の有無が
記載されています。

前面道路に配管が無いというのは今まで経験がありませんが
敷地内への引込がないというのはよくあります。

建売住宅の場合だと
引込の工事費用は物件価格に
含まれていることが多いです。

既存の引込が無い場合は新たに配管を引き込む必要があるので
工事費用が発生します。
地域にもよりますが引込費用は20万円~30万円ぐらいになります。
(上下水道の両方で)

また古い住宅だと引込管が13mmの場合もあります。
普通の生活には問題はありませんが
複数の場所(キッチン、お風呂、洗面所)などで
同時に利用すると水圧が低いこともあります。
どうしても気になる場合は
引込をやり直すことも可能ですが費用が発生します。

電気
東海地方の場合は中部電力での利用となります。
ただ最近は電力は自由化になっているので
他の会社での利用も可能です。
特に指定があることはないので
お好きな電力会社を選んでOKです。

ガス
名古屋市内の場合はほぼ都市ガスになります。
前面道路、敷地内への引込がしてあれば
追加で費用が発生することはありません。
ここも電気と同じで自由に選ぶことができます。

地域によってはプロパンガスもあります。
プロパンガスは一般的に都市ガスより価格が高い
と言われています。
ですがプロパンガス屋さんも競争なので
相見積もりなどをすると
都市ガスと同じぐらいの価格になることもあります。

汚水・雑排水・雨水
名古屋市内であればほぼ公共下水となります。
(雨水に関しては側溝の場合もあります)

下水道が通っていない地域だと
汚水・雑排水は浄化槽を利用することになります。
浄化槽のデメリットは
自分の敷地内に浄化槽を設置する必要がある点と
定期的にメンテナンスが必要なので費用が発生します。

宅地造成または建物建築の工事完了時における形状・構造等

対象の不動産が未完成物件の場合に説明義務があります。
未完成物件は室内の見学ができません。
なので図面などを用いて工事完了時の形状などを説明します。

中古物件やすでに完成済みの時は該当しない項目です。

建築確認・検査済証の交付年月日・番号等

新築戸建であれば工事の前に建築確認申請を行っています。
申請時の書類の有無(新築であればほぼ間違いなくあります。)
中間検査や工事完了時に受ける検査済証の日付などを確認します。

新築でこれらの書類が無いのであれば
しっかりとした手続きを踏んでいないので
購入は止めた方が良いです。
(完成前であれば検査済証はありません)

中古戸建で築10年以内ぐらいの建物であれば
ほぼ検査済証まで受けていますが
売主さんが紛失してしまっているということもあります。

検査済証がないから「欠陥住宅だ!」というわけではありませんが
当然ですが書類が揃っている方が良いです。

造成宅地防災区域、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域


宅地造成等規制法や土砂災害区域警戒区域に該当しているか
という項目ですが私は今まで区域内の取引をしたことがありません。
なので詳しくないので割愛します。

津波災害警戒区域は東日本大震災後に
新しく加わった項目です。
名古屋市内でも指定されている地域があります。

名古屋市だと中村区、瑞穂区、熱田区、中川区などが
津波災害警戒区域に指定されています。
詳しくはこちらをご覧ください。

指定の区域だから建築に制限があるということはありません。
ただ地域に入っていますよという説明だけです。
海沿いでない限りそこまで気にする内容ではないかと。

●石綿(アスベスト)使用調査の内容

建物に石綿が使用されているかどうかではなく
石綿使用についての調査をしたかどうかの記載です。

1975年に特定化学物質等障害予防規制の改正が施工され
アスベストの含有率が5%を超えるような施工が禁止。

1995年には労働安全衛生法施行令が改正され
含有量が1%を超える吹付が禁止。

2006年には労働安全衛生法施行令の改定で
アスベストの含有量が0.1%を超えるものは
製造・輸入・使用が禁止されました。

なので現在、新築の建物に関してはアスベストが
利用されていることはまずありません。

そもそもアスベストは主に鉄骨造の耐火被膜での利用が多いです。
なので木造住宅で利用されていることは少ないです。

●耐震診断の内容

昭和56年以前に建築された建物の場合に説明をします。
なので新築や築浅の住宅の場合は関係がありません。

現在だと築40年ぐらいの建物になります。
戸建の場合は解体することが多いので
耐震診断をしている建物に出会うことは少ないです。

マンションの場合は築40年ぐらいの建物はありますが
耐震診断をしているマンションは少ないです。

●住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

新築住宅には
住宅性能評価という制度があります。

建築確認申請は建築基準法上の基準が守られているかを確認するものです。

例えば「当社の建物は地震に強いです!」と言っても
それを示す根拠がありません。
なので国に登録されている第三者機関が共通基準をもとに
公平に建物を評価できるようにした仕組みです。

設計時の図面から評価結果をまとめた「設計性能評価書」と
施行中、完成後に現場検査結果からまとめた「建設住宅性能評価書」
の2つがあります。

性能評価書には耐震性、維持管理、劣化の軽減など
様々な項目がありますが取得する一番の理由は耐震性の部分です。

最近は建売でも増えてきた
「耐震等級3」というのは住宅性能評価の内の一つです。

売買代金および交換差金以外に売主・買主間で授受される金銭の額

売買代金
今回の物件は総額は3,090万円でした。
土地代金が22,646,000円
建物代金が8,254,000円
建物代金のうち消費税額が750,363円
となっています。
(土地には消費税がかかりません。)

この金額を見ると
「建物代金が825万円なんて安い!」
と感じると思います。

ですが実際にはこの価格では建築はできません。
あくまで書類上、この価格になっているだけです。

建物代金には消費税がかかるので
売主さんとしては消費税の支払いを減らすために
建物代金を低くする傾向にあります。

あまりにも建物代金が低いと
脱税で捕まる可能性もありますが・・。
(実際に数年前に脱税で告発されていた会社もあります)

公租公課の起算日
毎年かかる固定資産税は引渡し時に日割り清算をします。
とはいえ基準の日が決まっていないと日割りができないので
起算日を決めています。

名古屋の場合は4月1日を起算日としています。
2020年2月10日に引渡しをした場合は
売主さん:2019年4月1日~2020年2月9日
買主さん:2020年2月10日~2020年3月31日
が負担する期間となります。

地域によっては1月1日を起算日とすることもあります。

授受される金銭
契約完了時に売主さんに手付金を支払います。
この手付金は売買代金に充当されます。
今回は手付金が50万円だったので
売買代金3,090万円-手付金50万円=3,040万円
が最終的に売主さんに支払う残代金です。

それ以外は固定資産税の清算金となります。

新築の建物は表示登記を行う必要があります。
通常は土地家屋調査士に費用を支払うのですが
今回は売主さんへの支払いだったので
表示登記費用が入っています。

●契約の解除に関する事項

売買契約をしたからと言っても
契約を辞めることは可能です。
ここでは解約方法の説明をします。

手付解約
契約時に売主さんに支払った手付金を放棄して
契約を解除することが可能です。

売主さん側から解約する場合は
手付金を返して、手付金と同額を買主さんに支払うことで
解約することができます。

解約手付としての意味合いもあるので
手付金は売買代金の5%~10%ぐらいが一般的です。
少ない場合でも30万円ぐらいです。

手付金の額があまりにも少ないと
お互いにすぐ契約を辞めれることになるので
リスクになる部分でもあります。

引渡し完了前の滅失・毀損による解除
売買契約からお引渡しまでは通常1ヶ月前後の時間が必要です。
この1ヶ月の間に大規模地震で建物が倒壊したり
洪水で家が水没したりする可能性が0ではありません。

買主さん側としては倒壊した建物を引き渡されても困ります。
そんな時は契約の解除が可能です。
修復が可能なぐらいの毀損であれば売主さんの責任と負担で修復し引渡しを行うことになります。

この解約の場合、手付金は戻ってきます。

契約違反による解除
契約条項を違反した場合は契約の解除となります。
契約書には引渡日などの取り決めもあります。
買主さんが住宅ローン手続きをしていなくて
引渡日を過ぎてしまった場合や
残代金の支払いをしたにも関わらず
売主さんが物件の引渡をしなかった場合は
違約となります。
(今まで一度も経験はありません。)

融資利用の特約による解除
買主さんは住宅ローンを利用することで
住宅を購入します。
万が一、住宅ローンが利用できなかった場合は
現実的に住宅を購入できません。

なので住宅ローンの承認が得られなかった場合は
白紙解約とする特約です。
契約解除期日を設定しますが
この期日までであれば白紙解約が可能です。

契約解除期日は通常、契約から1ヶ月以内ぐらいなので
売買契約が終わったら早めに融資の本申込みをしましょう。

契約解除期日以降に住宅ローンの承認が得られなかったと
なっても契約違反による解除になる可能性があります。

融資特約による解除をした場合、手付金は戻ってきます。

譲渡承諾の特約による解除
土地が借地の場合に適用されます。
地主さんが買主さんには土地を貸さないといった場合は
契約の解除をすることが可能です。

瑕疵にの責任および瑕疵による解除

新築物件は構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分に
関して売主が10年間の瑕疵担保責任を負います。

10年以内に瑕疵を発見して契約した目的が達せられないときは
売買契約を解除することが可能となります。

とはいえすでに住んでいる場合は契約の解除ではなく
修理をすることがほとんどです。

個人売主の場合は瑕疵担保が免責(なし)だったり
引渡から2週間、1ヶ月など様々です。

瑕疵による解除は経験したことがありません。

反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除

契約の相手方が暴力団、暴力団関係企業、総会屋などの構成員だった場合は
契約の解除ができます。

また本人が構成員でなくても
構成員の人に貸すために購入するという場合も契約の解除となります。

まぁこれは一応、入っているだけで
そこまで調べることもないので
「違いますよね~」
と確認して読み飛ばしています(笑)

損害賠償額の予定または違約金に関する事項

契約違反による解除を行った場合は違約金の支払いが必要です。
不動産契約では違約金を最初に決めておくのが一般的です。
今回は売買代金の10%が違約金の額となっています。

実際の損害が30万円だったとしても
3,090万円×10%=309万円
が違約金です。

逆に損害が500万円だったとしても
違約金は309万円となります。

手付金等の保全措置の概要(不動産業者が売主の場合)
不動産業者が売主で
未完成物件で手付金の額が売買代金の5%以上
完成物件で手付金の額が売買代金の10%以上
または1,000万円以上の場合は
手付金を保全しないといけません。

万が一契約してから売主さんが倒産してしまったら
手付金は戻ってこないです。
なので手付金が上記を超える場合は保全が必要になります。

とはいえ売主さんも保全措置をするのは手間なので
手付金の額は上記の範囲内でおさめるのが一般的です。

支払金または預り金の保全措置の概要

通常、手付金以外に売主さんに支払うお金はないので
この項目はいつも講じないで説明終了です。

金銭の貸借のあっせん


買主さんが利用する住宅ローンの内容が記載されています。
このお客さんはフラット35を利用する予定だったので
金融機関等の欄 フラット35 他金融機関
金利 1.21%
借入期間 35年
あっせんの有無 無
融資承諾取得期日 2019年12月27日
となっています。

上記の内容で融資の承認が得られなかった場合は
前述の融資利用の特約を利用して解約が可能です。

ちなみに契約書の条文には
融資の全部または一部の金額につき承認が得られないとき
契約を解除できるとなっています。

極端な話しですが
3,080万円しか承認が得られなかった場合でも
融資利用の特約で解除は可能です。

また他金融機関と記載がしてあるのは
フラット35がダメでも他の銀行で借りるようにしてください。
という意味合いです。

契約前に事前審査を通しているので
本申込みで落ちるということはほぼないので
そこまで心配しなくても大丈夫です。

また金額については
記載の金額を借りないといけないわけではありません。
このお客さんは3,030万円の借入でした。

割賦販売に係る事項


売主さんとの間で分割払いがあるかどうかですが
一般的な不動産取引は一括払いなのでいつも無です。

土地の測量によって得られた面積に売買代金の清算

実測売買の場合に利用をしますが
新築戸建の多くはすでに測量済だったりするので
公簿面積(登記簿の面積)とズレていることはあまりないです。

数十年、測量していない土地の場合だと
公簿面積と実測面積に差がでることがあります。

その時は正しい面積で清算をすることになります。
1㎡あたりの清算単価を決めておくことで
後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

添付書類

重要事項説明書に添付する書類の一覧です。
・補足資料(建築基準法などが記載されている資料)
・登記簿(土地・建物)
・測量図
・公図
・確認申請書
・確認済証、検査済証
・建物図面(配置、平面、立面)
・ハザードマップ
・住宅性能評価書
などが添付されます。
購入してからはまず見ることがない書類です。

備考
この欄には業者さんによって記載されている内容が違います。
多いのは
・本物件周辺は第三者所有の土地であるため将来、建築物が建築または増改築される場合があります。その際には周辺環境、日照、眺望、風向きに影響が出る場合があります。

・本物件土地の所有権移転登記、建物の表示登記の各申請手続きについては原則として売主の指定する司法書士、土地家屋調査士を利用していただきます。

・売買契約書に貼付する印紙は買主の負担とします。

・残代金、固定資産税の清算金は売主指定の銀行口座への振込とし振込用紙の控えをもって売主の領収書に代えるものとします。

・TV受信設備の設置(アンテナ、共聴アンテナ、CATV引込費用等)に伴う費用および受信料は買主負担とします。

などが多いです。
内容としては特別なことはありませんけどね。

それ以外だと
駐車場は全ての車種には対応していません。
だったり運転者の技量により駐車が難しい可能性があります。
なんて文言もあったりします。


まとめ
これで重要事項説明書の説明が終わりです。
全てを読むのはなかなか大変だったと思います。

私の場合は今回の重要事項説明書をお客さんに説明する時は
大体1時間ぐらい時間がかかります。

かれこれ数年、他の人の重説を聞いていないので
詳しいことはわかりませんが恐らく私は長い方です。

わからないことがあればその都度、質問してもらい
その場で解決するようにしています。

しっかりと説明することで後々のトラブルや
聞いていなかったということがないようにしています。

重説が終わったら次は契約書の読み合わせに進みます。
契約書の内容は重要とほぼ同じなので30分もかからずに終わることが多いです。

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