講義1:理解する
家を買うリスクを理解しておこう!
ほとんどの方にとって人生で最高額の買い物は住宅でしょう。
なので一番最初に考えないといけないのは
「家を買うリスク」についてです。
このリスクには様々な種類が存在しますが
リスクを想定して家を購入しているかどうかは
精神的にかなり違ってきます。
リスクの代表的なものとしては
金銭に対するリスクです。
住宅を購入する方のほとんどは住宅ローンを利用して
住宅を購入します。
住宅ローンを利用する場合だと最長で35年のローンを組みます。
支払いの回数は420ヶ月にもなります。
その間、一度の失敗もすることなく支払いをする必要があります。
現在の日本は終身雇用制度も崩壊しつつありますし
会社に長く勤めていればそれに応じてお給料が上がるということも少ないです。
もっと言えばあなたが勤めている会社が35年後に存在しているかはわかりません。
何かの都合で転職を余儀なくされることもあるでしょう。
今と同じお給料をもらえれば問題ありませんが
今よりお給料が下がってしまうこともあります。
お子さんの成長によって掛かるお金も変わってきますし
お子さんの人数でも月々に掛かるお金は変わります。
様々な状況を想定して
それでも420回の支払いが行えるか
を考える必要があります。
最悪のケースを伝えておくと
毎月の住宅ローン支払いができなくなると
銀行はあなたの家を売却して資金回収をします。
売却金額>ローン残債
であればいくらかは手元に残りますが
ほとんどの場合はローン残債が上回ります。
つまり家はなくなりローン残債もあるという状況です。
この段階になるとほとんどの方が自己破産を選択します。
家族を幸せにするために購入した家が
家族を不幸にするという結果になります。
これが住宅を購入する際の一番のリスクです。
それ以外だと選択肢が限定されるリスクがあります。
家を買ったら一生、住み続けるという考えの方がほとんどです。
住む場所が限定されるということは選択肢が減るということにもなります。
例えば転職をしたいと考えていても
今の家から通勤するには遠すぎたり
お給料が下がってしまうと住宅ローンの返済ができなくなるかもしれません。
会社から転勤を命じられる可能性だってあります。
単身赴任という選択もありますが
家賃自体は負担してくれますが
食費や光熱費、帰省する際の交通費などは自腹です。
そうなれば月々の返済は当然増えてしまいます。
賃貸であれば家族ごとお引越しをすることもできます。
さらに家賃の会社負担があれば今より月々の出費は減る可能性もあります。
年に2回は海外旅行に行っていたけど
年に1回になってしまうかもしれません。
家を買ったから好きなものを我慢するということは
ある程度の部分は仕方ないかもしれません。
ですが本当に考えて欲しいのは
家を買ったことによって人生が豊かになったかです。
あなたの人生において一番大事なのは
家ではなく生き方です。
こういうお話しをすると
「家を買うのはとてもリスクがあるなぁ」
と不安になる方もいます。
もしかするとあなたは
「家を買うのはリスクが高すぎるから中止だ!」
と思っているかもしれません。
住宅購入自体がリスクしかないのであれば
私自身は不動産売買の仕事はしていません。
もちろんリスク以上のリターンもあります。
問題なのはリスクを想定しているかであり
リスクに備えて購入するかどうかです。
その為にはあなた自身が
どれぐらいのリスクを許容できるかを
知っておく必要があります。
特に現在の不動産市場は
買い手が無理をしなくても
購入できるスキームが揃っています。
ひと昔前であれば
「家を買うのには頭金が2~3割必要」でした。
しかし今は物件価格全額はもちろん
諸費用の借入まで可能です。
フラット35の金利ですら1%前半ですし
ネット銀行などの変動金利は0.5%程度の超低金利です。
勤続年数も以前は2年~3年は必須でしたが
今では入社1年未満でも借りれてしまいます。
買いやすいという事は
本来、購入すべきではない人も
購入ができてしまうということです。
もちろん不動産業者は
「無理をして購入しないで下さい。」
とは言いません。
どちらかというと
「無理してでも買って下さい。」
というスタンスです。
広告などで目にする
支払い例などは
不動産業者の私が見ても酷いと思うものもあります。
(特に新築マンションの広告で)
金利の説明や正しい資金計画は
後の講義で詳しく解説します。
単身赴任、転職についてのリスク回避としては
住宅ローン支払額以上で賃貸できるかという点です。
仮にローンの支払いが10万円だったとして
12万円で貸すことができれば2万円プラスになります。
最初の段階で貸すことを考える方は少ないですが
万が一の備えとして考えておくことは大事です。
住宅購入で失敗しないために必要なのは「知識」です。損をしない購入方法をお伝えしたくて、今回の連載をスタートしました!
どうぞご参考ください
『秘伝の住宅購入講義』35講義